心臓手術について 狭心症・心筋梗塞の治療

治療は、冠動脈疾患の進行を遅らせるために、危険因子に対処することから始めます。
高血圧や高コレステロール血症などの危険因子はすぐに治療します。
禁煙は不可欠です。ほとんどの人には運動が勧められます。必要に応じて減量も指導されます。

薬物療法

安定狭心症の薬物治療は、虚血を予防あるいは軽減し、症状を最小限に抑えることを目的とします。
ベータ遮断薬、硝酸薬(ニトログリセリンおよび長時間作用型硝酸を含む)、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、抗血小板薬の5種類が用いられます。

ベータ遮断薬

交感神経刺激ホルモンによる心臓などの臓器への影響を阻止します。
したがってベータ遮断薬は安静時心拍数および血圧を下げます。運動中には心拍数と血圧の上昇を抑え、酸素の必要量を減少させます。また、心臓発作や突然死のリスクを減らす効果もあるため、冠動脈疾患の人の長期予後を改善します。

硝酸薬

ニトログリセリンには血管を拡張させる作用があります。
ニトログリセリンの服用により、通常、狭心症の発作は1~3分で緩和し、その効果は30分間続きます。ニトログリセリンには舌下投与用の錠剤と、口から吸入するスプレーがあります。

長時間作用型硝酸薬(イソソルビドなど)

1日に3~4回服用します。数時間以上にわたって薬が皮膚から吸収される、硝酸薬の皮膚用パッチや塗り薬も有効です。

カルシウム拮抗薬

血管の狭窄(収縮)を防ぐ作用と冠動脈のれん縮を阻止する作用があります。
これらの薬は異型狭心症の治療にも有効です。カルシウム拮抗薬はいずれも血圧を低下させます。

アルファ遮断薬

ACE阻害薬・ARB薬

狭心症などの冠動脈疾患がある患者に投与します。
これらの薬は狭心症そのものは治療しませんが、心臓発作のリスクと冠動脈疾患による死亡リスクを減少させる効果があります。

抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン、クロピドグレルなど)

血小板の性状を変化させて血管壁に凝集させないようにする作用があります。
血小板は血液中を循環し、血管が損傷を受けたときに血栓の凝集を促進しています。出血性の疾患があるなどの理由がない限り、狭心症の人には抗血小板薬を投与します。

観血的治療

冠動脈疾患を有する人に対しては、次の2つの目的で直達治療を行います。冠動脈の血流は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)で改善することができます。

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)ステント治療

先端にバルーンのついたカテーテルを太い動脈(通常は大腿動脈)に挿入し、大動脈を通って冠動脈の狭窄部位または閉塞部位まで進めます。
次に、バルーンをふくらませてアテロームを動脈壁に押しつけ、動脈を開通させます。カテーテル先端のバルーンに折りたたんだ金属メッシュの筒(ステント)をかぶせて挿入する方法もよく行われます。
この方法ではカテーテルをアテロームまで進め、バルーンをふくらませてステントを開きます。ステントが開いたらバルーンの空気を抜き、カテーテルを除去します。ステントはそのまま留置して動脈を広げます。

薬剤でコーティングされたステントが使用されます。
この薬剤は徐々に放出され、金属むき出しのステントでよく発生する冠動脈の再閉塞を防ぎます。しかし、この薬剤放出型ステントは動脈を開いた状態に保つには非常に有用ですが、金属むき出しのステントに比べてステント内に血栓が形成されるリスクが若干高くなります。
このような凝固のリスクを減らすため、薬剤放出型ステントを使用している人には、ステント挿入後少なくとも1年間は抗血小板薬2剤(DAPT)を投与します。

一般に、経皮的冠動脈インターベンションは侵襲度が低いため、バイパス術よりも頻繁に行われています。
しかし、冠動脈の病変の位置と範囲、カルシウムの蓄積量などの状態によっては経皮的冠動脈インターベンションが適さないこともあるため、医師はこの方法が適しているかを慎重に決定します。

経皮的冠動脈インターベンションを実施中の死亡率は1~2%未満で、非致死性の心臓発作の発生率は3~5%です。
経皮的冠動脈インターベンションの直後に冠動脈バイパス術が必要になる人は3%未満です。

狭心症・心筋梗塞の治療冠動脈バイパス術

冠動脈バイパスグラフト術(CABG)は、体の他の部位の静脈や動脈を使って、責任冠動脈の閉塞部分の先に接続します。これにより、血流は狭窄や閉塞のある部位を通らず迂回して流れるようになります。

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