MICS(低侵襲心臓手術・小切開心臓手術)
NewHeart Methods(ニューハートメソッド)低侵襲心臓手術 小切開心臓手術 通称(MICS:ミックス)
低侵襲心臓手術・小切開心臓手術 MICS(ミックス)とは
大きな胸骨正中切開で行う心臓手術を、小さな切開で行う心臓手術のことで、英語の略語からMICS(ミックス)と呼ばれています。具体的には肋骨と肋骨の間(肋間)を5~10cmほど切開して「肋間小開胸」でのMICS(ミックス)を行います(図1)。ポートアクセス法とも呼ばれます。
(図1)術後の傷跡
ニューハート・メソッドとは
「ニューハート・メソッド」とは私が4000例以上の心臓手術および手術用ロボット“da Vinci”を用いた300例以上の手術経験から編み出された我々独自の手術テクニックです。
da Vinci心臓手術で培った高度な技術は、“MICS”と呼ばれる小切開心臓手術に対しても大きく活かされています。専用開発の手術器具や選び抜かれた機材、そして何よりも豊富な症例に基づいた手術経験があなたの手術をより軽いものにするでしょう。
小切開手術(MICS)の映像
MICS(小切開)による僧帽弁形成術
チーム・ワタナベの小切開手術は、手術支援ロボット「ダビンチ」での内視鏡手術の技術を応用し、他の病院とは次元の違う心臓手術を実現しています。
小切開心臓手術 MICS(ミックス)のメリット
骨も神経も血管も切らず、肋骨の間もこわさないので、傷が小さく、体や心にも負担をかけない、優しい手術方法です。
- 小さい出血量が少ない、痛みが少ない、傷が小さい
- 早い手術が早く終わる
- 戻れる手術後早くもとの生活に戻れる
- 残らない傷が胸の真ん中に残らない
- 保険適応高額療養費制度をお使いいただけます
肋間小切開のMICS(ミックス)では胸骨を切らないため、出血が少なく、正中切開の時のような胸骨感染のリスクもありません。MICS(ミックス)では胸骨正中を切らないので術後2か月の運動制限もほとんどありません。早期リハビリが可能となり、早期退院、早期社会復帰が可能になります。
また女性では美容的すぐれているのでMICS(ミックス)はお薦めです。
いつからMICSが始まったのでしょうか
チーム・ワタナベでは肋間小開胸でのMICS(ミックス)を1993年から開始しました。日本では最も早い導入です。最初は冠動脈バイパス手術に行っていましたが、早期の社会復帰を希望する若い方を対象にしていましたが、最近は高齢者など胸骨が弱い人には積極的にMICS(ミックス)を行っています。出血や感染などの術後合併症を予防する意味でもMICS(ミックス)は大きなメリットがあります。
ニューハート・ワタナベ国際病院では年間70人程度の方がMICS(ミックス)をうけています。また、日本だけではなく、海外からMICS(ミックス)やロボット手術を希望され、来院されます。
どんな病気でMICS(ミックス)が受けられるか?
成人の心房中隔欠損症、僧帽弁疾患、冠動脈バイパス術(1枝~4枝バイパスが可能)および大動脈弁置換術です。
チーム・ワタナベでは1993年日本で初めてMICS(ミックス)で冠動脈バイパス手術を行いました。2本以上の冠動脈バイパス手術をMICS(ミックス)で行えるのはチーム・ワタナベを含め一部の施設だけです。
1993年からMICS(ミックス)を行ってすでに20年が経ちました。 現在、カテーテルで弁膜症が治る時代になってきました。正中切開の手術は過去のものになりつつあります。
MICS(ミックス)の先にあるロボット手術
MICS(ミックス)よりもさらに体に優しい方法として、MICS(ミックス)より小さい傷で行う内視鏡手術が始まっています。外科手術用ロボット“ダビンチ(da Vinci Surgical System)”を用いた心臓のロボット手術です。
MICS(ミックス)は肋骨の押し広げて胸を開けますが、ロボット手術では小さな穴を開けるだけで、そこから鉗子などをいれて画面を見ながら手術をします。傷がほとんどなく、神経も骨も傷つけないのでMICS(ミックス)での欠点である痛みがほとんど無いので術後の回復は驚くほど良いです。