狭心症・心筋梗塞の前兆と手術方法
狭心症・心筋梗塞の前兆(初期症状)について
まず、狭心症というのは文字通り胸部の絞扼(こうやく)感を意味します。
胸が締め付けられるようになる状態になることで、右の絵の通り左胸部に痛みを感じます。
ただ狭心症の場合ではその痛みの持続時間は短く、安静にすることで軽快します。(『Netter』より引用)
一方、急性心筋梗塞や急性冠症候群といわれているものは、狭心症よりも重篤で、通常胸の痛みが30分以上続くものです。
その痛みの特徴は胸の中央部から裏側に重圧感、圧迫感、絞扼感や痛みを生じ、時々左の腕の内側に放散する痛みがあります。
まれに首や顎にも放散する場合があるので注意を要します。
ニトログリセリンは狭心症の場合は効きますが、心筋梗塞になるとなかなか効果はありません。
この絵に痛みの放散する方向が載っていますが、このとおり一般に狭心症を起こさせる因子は過食、労作、寒さ、喫煙の4つと言われています。
この絵はまさしく冬の雪の降る日にレストランで食事をして、食後に一服のタバコを吸って外に出たところで発作が起こっていますが、このような状況は最も目にするものです。
狭心症・心筋梗塞の手術方法(オフポンプ CAGBについて)
オフポンプ CABG手術の利点
Off-pump CABGとは人工心肺を使わずにバイパス手術を行う方法です。
20年前は、冠動脈バイパス手術の方法として人工心肺を用いて心臓を止めた冠動脈にバイパス手術を加える手術が一般的でした。
しかし、動脈硬化をもった患者さんの人工心肺運転はリスクがあり、または脳や腎臓などに狭窄病変が残っていたりなど、心停止をして全身麻酔管理をする上で大きな2つのリスクを抱えながらの手術でした。
冠動脈バイパス術のターゲットとなる冠動脈は心臓の表面に走っているためには心臓を止めなくてもできるのです。ただバイパスをするためには血液を一時的に遮断する必要があります。
遮断をすればその血管の末梢の心筋には血液が流れませんので、虚血になる前にそこを手早く縫い合わせることが必要です。
オフポンプCABGでは、冠動脈の一時的遮断による心筋の虚血という問題と、動いている心臓の冠動脈の部位を動かなくする工夫の2つが同時に必要になってきます。この動かない部分を作る方法はすでに商品化をされています(スタビライザー)。
ただし、虚血を予防する方法についてはいまだに良い方法がありませんでしたが、私たちは特別な機械(CAPS tube)を開発して現在使っています。
この機械を使うことにより遮断している間の3~5分、心筋は虚血にならず末梢に血液を灌流させるので、全く平常状態と変わらない状態で手術が行うことができます。
これは安全に手術を施行するためだけでなく、吻合中に血管の後壁を針で間違って刺すなど良く起こりがちな合併症を予防することもでき一石三鳥になる方法です。
オフポンプ手術がうまくいけば、大変大きなメリットを患者さんは受けることができます。全身麻酔はかけるものの、人工心肺を使わないために、脳合併症、および肝臓や腎臓やサイトカインの上昇なども起こらないために、術後の回復が著しく早くなります。
狭心症・心筋梗塞になるリスク要因
検診で心電図異常を指摘されなくても、突然狭心症になる危険は十分にあります。
はっきり前兆というものは予見するのはむずかしいですが、胸の違和感や軽い痛み、または胸が締め付けられるような強い痛みが一度でもあった場合には、この病気を考えたほうが良いでしょう。
また場合によっては背中が痛くなったり、左の手が痛くなったりすることもあります。
胆石症と診断されたけれども実は狭心症だったということもあります。
狭心症は心臓を栄養している冠動脈が狭窄を起こして起きる病気ですが、突然死をきたします。
そのためにも冠動脈に狭窄がないことを確認することは大切です。これはがんや脳梗塞とは違うところです。
心臓病で死なないためにもぜひとも検査をすることをお勧めします。
また前兆とは言えませんが、狭心症や心筋梗塞になるリスク要因というのがあります。
- 高血圧
- 肥満(メタボリック症候群などといわれています)
- 糖尿病
- 高脂血症(コレステロールが高いなどです)
- 高尿酸血症(痛風などといわれたことがある方に当てはまります)
- ストレス
- タバコ(喫煙者です)
以上のうち3項目以上当てはまる方で、50歳以上の男性、並びに60歳以上の女性の場合には、冠動脈の病気を患っている可能性が高いと思いますので、検査をするのが良いと思います。
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