心臓病の種類とそれぞれの症状

心臓の病気(心疾患)は、日本人の死因の第2位となっています。
手術のこと、治療のことを考える前に、知っておいていただきたい心臓病の種類とそれぞれの症状についてまとめましたので、ご参考ください。

心臓病の種類

心臓病は、心臓の構造や機能に起因する異常によって引き起こされる病気の総称であり、その範疇には心不全、冠動脈疾患(虚血性心疾患とも呼ばれる)、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心疾患などが含まれます。心不全は心臓病の一形態で、心臓のポンプ機能が悪くなり、ちゃんと働かなくなった状態のことで、高齢者社会に伴って高齢心不全患者さんが大幅に増加する「心不全パンデミック」が起こっています。さらに、心臓病以外にも、血管に関連する病気として、大動脈瘤などの大動脈疾患が存在します。以下でそれぞれについて説明します。

心臓弁膜症について

心臓弁膜症とは、心臓の弁が、さまざまな原因で固くなったり切れたり癒着したりといった異常を起こし、正常に働けなくなった結果、心臓内の血流コントロールがうまくいかなくなる病気です。
以下の記事では、心臓弁膜症について詳しく説明しております。

心臓の弁の開閉機能に異常心臓弁膜症
(しんぞうべんまくしょう)とは

心臓にある弁が正しく機能せず、本来の役割を果たせなくなる病気です。
弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられたり、弁が完全に閉じなくなり血液が逆流したりします。

心房中隔欠損症について

心臓の右心房と左心房の間にある「心房中隔」と呼ばれる壁に、生まれつき穴(欠損孔)が開いている疾患を心房中隔欠損症といいます。先天性心疾患の約6~10%を占める病気で、男女比1:2で女性に多いと言われています。
胎児のときは誰にも欠損孔があるのですが、通常は新生児となるまでに自然とふさがります。
以下の記事では、心房中隔欠損症について詳しく説明しております。

心臓の中の壁に穴がある先天性心疾患 心房中隔欠損症
(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)とは

心臓の中にある「心室中隔」と呼ばれる壁に、生まれつき穴が開いている疾患です。
左心房から右心房に血液が流れてしまうことで、右心房や右心室、さらに肺の負担が増えます。

心筋梗塞・狭心症

心筋梗塞とは、心臓に酸素と栄養分を運ぶ冠動脈が詰まって血液が流れなくなり、心筋が死んでしまう病気です。筋肉が死ぬことを「壊死」と言います。
これに対して狭心症とは、冠動脈の内径が狭くなった状態で、まだいくらかは血流があり、痛みが無いこともあります。したがって、心筋梗塞のほうがより危険で重篤と言えます。
心筋梗塞と狭心症を合わせて虚血性心臓疾患と呼びます。
以下の記事では、心筋梗塞・狭心症について詳しく説明しております。

ある日突然命を奪われることも 心筋梗塞・狭心症
(しんきんこうそく・きょうしんしょう)とは

動脈硬化により、心筋に血液を送る冠動脈が閉塞する、あるいは狭くなる病気です。
心臓の機能が著しく低下し、重症の場合は死に至ることもあります。

胸部大動脈瘤について

大動脈瘤は、この大動脈の壁が弱くなって、局所的に瘤のように大きくなる病気です。大動脈瘤は大動脈のどこにでも起こり、発生する部位によって「胸部」「胸腹部」「腹部」に区別されます。
以下の記事では、胸部大動脈瘤について詳しく説明しております。

大動脈が瘤のように拡張 胸部大動脈瘤
(きょうぶだいどうみゃくりゅう)とは

大動脈の壁が弱くなり局所的にコブのように拡張する病気です。
動脈瘤で最も恐ろしいのは破裂です。また突然、血管の内膜が裂けることもあります。

心房細動について

心房細動とは、不整脈のうちの頻脈の一種です。心房が1分間に350~600回、小刻みに痙攣します。
心房細動は、動悸やめまいを起こしたり、心不全(心臓のポンプ機能が衰弱した状態)を引き起こしたり、脳梗塞の原因(心原性脳梗塞)になったりします。
以下の記事では、心房細動について詳しく説明しております。

心房細動から脳梗塞へ 心房細動
(しんぼうさいどう)とは

心房細動が持続すると血栓(血液の塊)ができやすくなり、脳の主要な血管(脳動脈)が閉塞され、脳梗塞を引き起こ原因になります。

症状からみた心臓病

息切れ、夜間呼吸困難

心不全の可能性があります。軽い動作でも息切れや呼吸が苦しい症状があるようでしたら、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、心筋症、弁膜症などの可能性があります。検査方法は、レントゲン、心電図、超音波検査および肺のCT検査です。

動悸

弁膜症、拡張型心筋症、心筋梗塞、心房細動、上質性頻拍などの可能性があります。検査方法は、レントゲン、心電図、超音波検査を行った後、ホルター心電図で24時間の心電図を行います。冠動脈造影検査(カテーテル検査、CAG)を行うこともあります。

胸の痛み

狭心症、大動脈弁狭窄症、大動脈瘤切迫破裂などの可能性があります。検査方法は、レントゲン、心電図、超音波検査。次に冠動脈CT検査または冠動脈造影検査(カテーテル検査、CAG)を行います。

むくみ(浮腫)

むくみや急激な体重増加も心不全の前兆である可能性があります。心臓の機能が低下すると、血液の流れが悪くなり、全身に水分が溜まりやすくなるためです。

失神

不整脈や大動脈弁狭窄症が重症になると失神を起こすことがあります。失神にいたらずとも、眼前暗黒感やふらつきを示すこともあります。

高血圧

高血圧は動脈硬化を進行させるリスク要因となります。

いびき、睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心臓や血管の病気のリスクを高めるといわれています。特に心房細動とは大いに関係があり、両者の合併は多いです。

心臓に関するよくあるご質問

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ニューハート・ワタナベ国際病院の紹介

心臓血管外科・循環器内科を中心とした高度専門治療を行う「ニューハート・ワタナベ国際病院」では、身体に優しい小切開手術や手術支援ロボット、ダビンチを用いた超精密鍵穴(キーホール)心臓手術などを提供しています。診察から手術を通して痛みや負担から患者さんを解放することを目標にし、日々工夫しています。
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