2014年7月24日『日経コンピュータ』ダビンチでのロボット心臓手術について

「ブラック・ジャック」の実現も

モニターに映った3D映像を見ながら医師が手元のコントローラーを操作すると、離れた場所にある機械のアームが作動、患部を切除したり、鉗子で固定したりといった細かい作業を実行する。

日本における“ロボット外科"の先駆者、ニューハート・ワタナベ国際病院の渡邊総長は、「手術支援ロボットda Vinci(ダビンチ)が無い世界にはもう戻れない。外科手術はいずれ、ロボットが行うようになる」と力説する。出血数が少なく、回復が早い為、米国では前立腺がん患者の8割以上がダビンチによる手術を受けているという。

現時点では、ダビンチは手術の精度を高めるための道具として利用されており、捜査履歴などは収集していない。だが「装置メーカーがその気になれば、すぐに手術関連のビッグデータを蓄積できるようになる」と渡邊総長は見る。

ダビンチはアームの座標や操作の順番、術中の映像など、さまざまな情報をデジタルデータとして扱っている。現在は記録していないこうしたデータを学習させれば、「ブラック・ジャック」さながらの名医の手術を、ダビンチで再現できることが可能だ。画像診断装置と連携させて、患者ごとの血管の位置などをダビンチに認識させれば、経験が少ない医師のミスを減らせるかもしれない。

保険制度などクリアすべき課題はあるが、「ダビンチが普及すれば、外科手術の現場でかつてないイノベーションが起こる」(渡邊総長)ビッグデータが人命を救う未来は、すぐそこまで来ている。

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