先日、誰も書かない心臓血管外科専門医認定試験(2011年12月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp)を拝見しました。
今日はその日本記者クラブ会員 石岡 荘十さんのコラムの引用です。よく書かれているので読んでください。
まさにその通りの内容です。感じたことはMediaの方々もよくお調べになっていらっしゃるのと、これはおそらく国民の多くが気がつきだしているのだなと実感します。学会の収入源としては専門医が増えるほど上がるのでうれしいことでしょう。私も教授になってから専門医を受験しました。自分一人であれば不要ですが、若い人が専門医を取るに当たり基幹施設の教授が持っていないとまずいからという理由です。またこの専門医制度には更新制度があり、学会参加となんと講習受講が定められ、クリアしないと専門医免許切れとなります。教授となり人に教える立場の医師が講習に参加しないと専門医を継続できないなどとはどう考えてもおかしいのですが、去年はたまたま忘れていて、ついに失効となりました。運転免許であれば猶予期間があるのでセーフなのでしょうが、この専門医制度以外に厳しく、ついに先年は免許切れとなり再受験を若い人に交じり受けました。
落ちたらどうしようと思いました。けっこう難しい試験でしたが無事合格した時にはうれしかったものです。

以下に引用させて頂きます。

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11月18日、心臓血管外科医に専門医の資格を与えるための筆記試験が東京で行われた。試験の結果は来週発表されるが、多分、数百人が新たに専門医の資格を獲得することになるだろう。 筆者はかねてから、日本では充分な知識も豊富な経験もない“危ない外科医”に、専門医の資格を与え続けてきた結果、多過ぎる心臓血管外科医の存在が高齢者に多い心臓病患者が危険にさらされているのではと危惧しているが、大手マスコミはこの問題にまったく無関心で、今回も朝日、毎日、読売をチェックした限りでは試験の意味とそのバックグラウンドを記事にしたところはゼロだった。 今年6月現在、日本で心臓血管外科専門医を標榜する外科医は1700余人にのぼる。専門医資格は心臓手術の執刀を許された、いわば「手術のライセンス」で、プロとしてのスキルを維持し続けるためには、年間少なくとも100例の手術をこなす必要があるというのが“業界”の常識である。ところが、日本で心臓手術を必要とする患者は年間6万人ほどだから、外科医一人当たりの手術症例は単純に算術計算すると、1人当たり年間平均35例に過ぎない。つまり月に1人か2人の患者しか回ってこないことになるから、これではプロとしてのスキルは維持出来ないことになる。要するに、心臓血管外科は、医師不足が問題となっている小児科や産婦人科と違い、「需要」、つまり手術が必要な患者の数に対して心臓血管外科医の数、「供給」は異常に多過ぎるのである。そこへ、さらに数百人が専門医としての資格を認定されるとなると、外科医1人当たりの患者数はさらに少なくなり、プロと呼ぶにふさわしい外科医のウデを磨き、スキルを維持する環境はさらに悪化することとなる。 2004年、東京医科大病院で心臓の弁を人工の弁に置き換える手術を執刀した49歳の外科医の患者4人が相次いで死亡するという事件があった。この執刀医の手術実績は、年間平均45件に過ぎず、大学側は「この外科医が経験・実績も少なく、技術的に未熟だった」と認めている。年間数百件の執刀をする現役バリバリの心臓外科医は、1700人の専門医のうち、まあまあのスキルを持った医師は100人ほどに過ぎず、残りの専門医は“危ない”医者だ。こんな医者の手にかかった患者の命の保障は出来ない。専門医の資格を認定する心臓血管外科専門医認定機構(以下、機構)は有害無益」(東京ハートセンター、南淵宏明医師)と切って捨てる。見かねた厚労省が先月、「専門医の在り方検討委」を発足させたが、これまた大手マスコミは、まともに取り上げなかった。東京医大の“事件”は読売新聞への内部告発で明るみに出たものだったが、機構の幕内晴朗代表幹事(聖マリアンナ医科大学病院長、心臓血管外科教授)は、心臓疾患の死者年間16万人の中に、同じような未熟な専門医による犠牲者がいないとは「断言できない」と言っている。そんな中での、専門医認定試験である。
> 関係者のご意見を是非、伺いたいものである。