先日M3の記事を読んでいて目に留まる記事がありました。2020年のアメリカ胸部外科学会の発表です。

 2020年のアメリカ全米での心臓血管外科手術件数は2019年の数に比べ53%減ったと言う驚くべき結果です。これにより何が起こったかと言うと、手術を待っている患者さんが多数死亡したであろう事が予想されます。アメリカはコロナが席巻し多数の死亡例を出したことから、多くの病院がコロナ患者を最優先して治療をしました。特に呼吸不全に対しては人工心肺などが必要であり、そこに人工心肺士や心臓外科の医師が動員された結果、待機手術は1部のバイパス手術などの後回しとされ不要不急の手術とされたからです。

 我々の患者さんでも同様で、コロナで受診控えをしたことによって本来であれば3ヶ月ごとに見ていた患者さんが半年、そして1年来院されずに、いらしたときにはかなり進行していた例が散見されました。僧帽弁閉鎖不全症等で経過を見ていた患者さんは半年で心房細動など不整脈が慢性化し、弁逆流も高度になっていました。早く手術をしていれば不整脈は予防できたのにと悔やまれる場合もありました。
 ワクチンの安全性についてはいろいろな意見があるようですが、少なくともなって死亡してしまえば元も子もありません。可能性は少ないけれども明日は何が起こるかわからないのがこの世の中と思います。