金沢大学心臓外科は年末は大忙しです。今週は水曜日で既に6件の手術。今日はBentall + 弓部大動脈瘤人工血管置換術の同時手術でした。別の部屋では同時スタートでDr.富田がOPCAB6枝やってます。今日は特に若い患者さんの慢性解離ですが大動脈弁閉鎖不全症が2度で、何とか弁を温存しようと思いましたが何せ、解離腔が7cmで真腔はほとんど押しつぶされてましたからつり上げもだめで無冠尖は落ち込んで直らないのでBentallです。
弁輪径は21mmと小さいのでSJM conduitはつかえず,Carbo21にJ−graftをくっつけて使います。昔は5−0で全週縫い付けていましたが、最近は3カ所だけ縫いそのまま2−0proleneで連続縫合です。
大動脈瘤も大動脈弁置換も連続縫合はいいですね。ワンサイズ大きな弁が入るし時間は短いし、出血が心配でしょうが結節で一カ所でも緩んだら血が止まりませんから結節も連続縫合も一緒です。神経鉤の使い方がポイントです。RCAも解離していたのでカレルパッチはやめてRCA本幹でグラフトに吻合です。弓部distal吻合も連続縫合ですから下半身の循環停止は短く最低体温32度でOK。加温は早いです。
なぜみんな20度まで下げるのだろう?遮断の安全限界に注意が行き過ぎです。20度やそれ以下だと脳血管のスパスムが起こり、(特にA-com,P-comのような小血管)脳血流に不均衡が起こり結果脳障害が高くなること名古屋から素晴らしい動物実験のreportが出てます。発想の転換ですね。こういう逆転の発想は心臓外科医にとても大事です。とかく経験に頼る傾向が強い外科医は、見たものしか信じない、外国人がやってるからやってみようと頑なです。我々は32゜の弓部置換術をJTCVSにだしましたがevidence云々Editorが言ったのでEuroJ に出したら通りました。もう少しででますから外科の先生ご覧ください。
話しはずれましたが、うちは27日まで手術します。28は忘年会で終わりです。
平成22年12月22日 年末も働いています。
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