秋田の心臓血管外科に行って参りました

金沢大からは数台の演題が出ていましたが、圧巻はMICSセッションでした。(私は残念ながらその場に同席していませんでしたので以下はうちの教室員からの報告ですので少々違うところがあるかもしれませんのでご容赦下さい)
当科の鷹合先生が弁膜症に対するMICSを比較検討して発表していました。MICSとは小切開による弁手術を指します。司会は長崎大の江石教授。同氏は僧帽弁形成術では第一人者、顕微鏡下の冠動脈バイパス手術など多くの業績のある教授です。今回我々は正中切開群、MICS,そしてロボット僧帽弁形成術を三群で考察しました。

結果はロボット僧帽弁形成術では在院時間も短くQOLもよいという発表でしたが、ついでにロボットのQOLの良さを示すために術後の様子をVTRクリップで出しました。今はこのHPにも貼り付けたのでご覧になれます。手術1日目には体操を、手術2日目には病棟内を軽く小走りしているところが出ていました。

発表の後に会場から慶応大の四津医師より質問が飛びました。一つ目は”全国の心臓外科病院が全部ダ・ヴィンチを手に入れたら日本の医療経済は大変なことになりますよ。”(会場 失笑)
演者が困っていると江石座長、
”そういう医療経済の質問はこの場ではしないで違うところでお願いします”(また会場 失笑)
四津医師
”座長の優しい心遣いと理解しました”

さらにめげずに四津医師
”さっき出ていたVTR、どうせ冠動脈バイパス手術なんでしょ
演者
”お聞きで無かったのでしょうか、僧帽弁形成術です、人工心肺をつかった手術です (また会場 爆笑)
四津医師
”それはすばらしい”

勿論、演者が冠動脈バイパス手術を出すはずもなく、予行会もして私が指示を出したものです。傷も右にあるしねえ間違いようもないんだけれど。うそを付く意味もありません。
四津先生と言えばMICSでは大御所。1994年私がMIDCABをはじめた頃に四津先生はMICSをはじめられ、富士宮の実験室でWet Labをご一緒しました。その四津先生でさえロボットの手術後の元気な患者さんの手術をみてpump症例とはにわかに信じがたかったのでしょう。コストの話はさておき、将来につながるロボット手術、四津先生からお褒めの言葉とエールをいただいたと思いました。また猛然とやる気が出てきました。この場を借りて御礼申し上げます。学会のお土産話がまた一つできました。