心臓血管外科専門医更新に必要な単位取得のために、日本血管外科学会の教育セミナーに参加している。台場の立派なホテルで開かれていて参加者もそこそこ、血管外科もこれだけ人が集まるようになったのかと思うと30年前のマニアックな、オタクのような外科医の集会みたいな血管外科研究会が懐かしい。
人が集まるのは、最近では学術的興味だけではなく治療がお金に結びつくからで、特に最近のステント治療に至っては大変な集金マシンとなっている。
ホワイエにはたくさんの機械業者がいてそれはやかましい。タバコ臭い彼らの給料を我らの治療から出しているようなもんだ。お金のところに彼らが集まるのは当然だ。
今日の目的は教育セミナーに参加することだ。心臓血管外科専門医なるものを持っているが、その維持にセミナーへの参加が5年に3回必要だという決まりなので参加している。意味はなくはないが3時間の拘束を強いられるのは運転免許更新に似ている。運転免許では無事故無違反であれば講習免除となるが、専門医の単位はそうはいかないのだ。ろくに勉強をしていない者や、成績が芳しくない外科医にとっては必要だろうが、たくさん多くの手術をしている人には不要であると思う。研修医と席を並べるのは新鮮だが齢57にしてまだまだセミナーに参加するのかというと更新単位以外の利益はないので考えさせられる。
セミナー中、暇なのでとても久しぶりにブログを書いている。
今日のテーマは透析と心臓病。なんと内科医が話している。さすが内科医だ、大動脈弁狭窄は年間0.23㎡狭くなるとか、透析導入前にすでに53%冠動脈病変があるとか。。分析がすごい。外科医にはできない芸当だ。いまや、日本血管外科学会にくる外科医は内科医にロジックを教えてもらっている。
本会のプログラムに目を通す。内容は相変わらずだから面白さはないが、座長を見ていると興味深い。
あれ、この人心臓外科専門なのに司会などしている。あれ、この人は定年から5年も経ってるのによくやっているなあ。医療事故を起こしてクビになった元某大学教授はこの病院に行ったのか、どこいっても付き合いがいいのかいつも彼は学会に顔を出すなあ、などなど。人の生き様は色々だ。大学病院にいた頃は周りを見回す余裕がなくてわからなかったが、今はよくわかる。現役の教授は学会の司会や座長、委員会と使いまわされてとても忙しいが、会長になれる人は旧帝大系プラスのごく一部。
何が彼らを動かすモチベーションなのであろうかなどと考えてしまう。3日も手術をせず、大事な手術日をつぶして夜は宴会や懇親会でやあやあと仲間になる。酒を飲んで楽しそうだ。業者にわずかばかりの酒代でよいしょされる私立の教授も多いと聞く。
ここから新しいイノベーションやインスピレーションが出てくるのかな?若い外科医たちの中にはいい目をしてる奴は時折いるよ。会長招宴や懇親会でこそこそ政治家のまねごとをやってる人も多い。あなたはその若い外科医の規範となってるか?
みんな正直に成績を出しているか?小さい病院は大きなセンターの成績を信用して同じように手術をするよ。状態の良い患者ばかりを選んで手術していないか?教授たちは自分の教室員の発表を見ているか?機械屋のブースで油売ってないで会場に足を運んだらどうだい!外国人の二線級、沢山呼んでありがたがるなよ。いつになったら外国から呼ばれるの?日本人で呼ばれる人はごくわずか。言いたいことは沢山あるが時間がもったいないのでやめておく。