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2015年5月10日『日経メディカル』ロボット手術について

わが国でも導入が進んでいる内視鏡手術支援ロボット「da Vinciサージカルシステム」(ダビンチ)。学術講演「ロボットがもたらす手術療法のパラダイムシフト」では、泌尿器科や消化器外科、呼吸器外科、心臓外科など6領域のロボット手術の最新の成績や普及に向けた課題などが発表された。

藤田保健衛生大学外科学(肝臓・膵臓)講座教授の杉岡篤氏は、ロボット支援下での肝胆膵手術の成績を紹介した。

これまでに45例の肝切除を行い、切除した腫瘍の総数は64結節だった。占拠部位の検討では、S8領域が15結節と最も多く、S7領域も5結節あった。これらの部位は、腹腔鏡下手術でのアプローチが難しいとされている。大腸がん切除などを同時に行ったケースが6例、再肝切除が9例あった。

予後については、肝細胞癌の4年生存率が87.4%、4年無再発生存率が34.6%だった。「ステージ1、2の肝細胞癌の開腹手術に匹敵する成績だ」と杉岡氏は話す。癌肝転移では、5年生存率が41.3%、5年無再発生存率が24.8%で、これも開腹手術と変わらない成績だという。「ダビンチを使った肝切除は難易度の高い症例を適応としていることを考えると、良好な短期・中期成績が得られていると入れるのでは」と杉岡氏は考察する。

ニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区)総長の渡邊剛氏は、心臓外科領域のロボット手術の成績を紹介した。

心臓外科手術の多くは、胸骨を正中切開して行われる。胸骨の癒合には数か月を要し、術後8週間は運動や運転を控えなければならない。骨髄からの出血や胸骨感染などのリスクもある。ダビンチ手術の場合、数cmの切開創から内視鏡下に手術を行うため、正中切開を回避できる。

なお、ダビンチの機器としての適応に心臓外科は無く、製造販売元のインテュイティブサージカルが現在、適応拡大に向けて薬事承認を申請している。「心臓血管外科領域のロボット手術では整容性に優れるだけでなく、輸血や合併症を軽減したり、患者の社会復帰も可能になる。早期の承認が期待される」と渡邊氏は話す。渡邊氏が「30年後、外科手術においてロボット手術の割合はどのぐらいだと思うか」と参加者に尋ねたところ、「60%」と答えた人が128人中40人(31%)と最も多く、「80%」の28人(22%)と合わせて50%を超えた。「いつかロボットによる自動操縦手術も実現するかもしれない」と渡邊氏は語る。

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