心臓血管外科医 渡邊剛 公式Webサイト
心臓手術のご相談はこちらまで(24時間対応) ※携帯・自動車電話・PHSからもご利用になれます。
0120-599-119

2015年3月31日『集中』 ニューハート・ワタナベ国際病院について

Art in Hospital
多摩地域の医療を支える拠点病院
112. ニューハート・ワタナベ国際病院 (東京都杉並区)

ニューハート・ワタナベ国際病院は2014年5月、心臓大血管疾患や胸部疾患を中心として先端的高度専門治療を行う病院として開院した。
 総長の渡邊剛しは心臓外科医として世界的に有名だ。手術支援ロボット「ダヴィンチ」による心臓手術を日本で初めて実施、成功させ、現在までに200例以上のロボット手術を行っている。また、患者にとってダメージが少ないとされる心臓を動かしながら行う心臓手術も日本で初めて行い、成功させている。
 渡邊氏の前職は金沢大学医学部教授。同病院を立ち上げる際は、金沢大時代の「チーム・ワタナベ」のベテラン医師が参集した。その結果、同病院の手術成功率は世界トップクラスの99.8%を誇る。
 事業主体は医療法人社団東京医心会。理事長の河内賢二氏は渡邊氏の下界としての技量や医療に向かう姿勢に惚れ、15年程前からいつか病院をつくろうと話し合っていた。ビジョンに「『医療と病院』のスタイルを変えていく」と掲げているように、世界最新鋭の機器とトップクラスの技術を結集するとともに、「診断や治療過程での患者さmあの苦痛軽減、治療時間や入院期間の短縮、そして気持ちの安らぐ療養環境の整備も心掛けています」と河内氏。
 医療面では、一般的には6~8時間はかかるといわれている冠動脈バイパス手術を、国際基準である3時間以内で行っている。また、「ダヴィンチ」を使うことで手術後3日での退院を可能にし、患者や家族の負担を軽減するだけでなく、患者さの早期社会復帰を実現している。
 入院療養環境では、43床(うち集中治療のための9床)全てが個室で、患者のプライバシーを守っている。豪華ホテルを思わせる特別室も用意している。また、キャビンアテンダントやホテル勤務のキャリアを持つ医療コンシェルジュを配し、きめの細かいサービスも行っている。
 連携のスケールも大きい。「新しい医療連携」と称し、北海道から沖縄まで医療機関とネットワークを構築、全国から患者を集めている。病院名に「国際」と冠しているように、中国、ロシア、インドネシアなど海外からも患者が訪れる。
 高水準の医療とアメニティーをともに提供している同病院は、日本的な「おもてなしの心」を体現している国際病院だ。

ニューハート・ワタナベ国際病院

外国語はスタッフやスマホのアプリで対応

「世界性先端の医療技術・快適な病院環境を備えた高度専門治療の国際病院」を掲げるニューハート・ワタナベ国際病院は、毎月10人前後の外国人を診療している。患者は中国、ロシア、インドネシア、台湾などから訪れる。人間ドックの受け入れは今のところないが、受け入れは可能な態勢だ。
 河内賢二理事長は「名称に『国際』をつけているくらいですから、日本に来て病気を治したいという方がいれば普通に受け入れるというのが病院をつくった時からの精神です。もともとある観念だから、今更医療ツーリズムと言われても、特別な意識はないです」と、これまで行ってきた取り組みに自負を込めて話した。
 プライバシーを守る個室が基本となっていること、ホームページの表記が日本語・英語で対になって書かれていることなど外国人がアプローチしやすい環境を作っている。また、中国については、複数のマスコミから取材を受けたことがあり、現地で報じられたことが知名度アップにつながった可能性もあるという。
 医師が英語をはなすことはもちろん、中国語について一部の看護スタッフが堪能で、ロシア語にはスマホのアプリで対応している。インドネシアの患者とはリハビリ中にコミュニケーションが取れるようになっていったという。河内理事長は「ITのサービスがあったり、職員の間で話せる者がいたり、ご家族の中でも少しでも日本語が話せる方がいたりと、皆さんの力を借りて外国人患者さんに対する治療は成り立っています」と話す。
 仲介業者については「頼んではいない。手数料など払ったことはない」というが、ロシアなどで日本の事情に通じる人物が周りに病院がいると同院を紹介してきたりすることもあるという。  「このような間に入った人たちや病院の受け入れ態勢が組織立っていくかが今後の課題です。態勢が整ってきて、日本の医療ツーリズムが世界で評価されるようになると、患者さんたちは明らかに日本に集中してやって来ると思います。」
 また、医療ツーリズムについての課題として、大きな視点での全体のチェックが必要という考え方を示した。「外国人患者さんを受け入れる際は、例えば心臓外科といった一つの科での治療だけでなく、歯科や眼科、整形外科などの廊下にかかわる複数科のツーリズムがなされるべきだと思います。総合的な医療行為を集中的に実施し、全ての健康問題を解決して、帰国してもらう態勢づくりが大切だと考えています。」
 河内理事長は、医師としてのポリシーを次のように話した。「医療を皆さんと共有したい。大学生の時に『医師にして、哲学する者は神に近い』と言われました。でも、誰も哲学なんてしないから医師にして神に近い人など見たことがありません。だから私にとっては哲学をして、みんなで同じところに立って、同じところを見たい、という意味です」。
 外国人の受け入れについても、区切ったり、力を込めたりせずに、自然な立場で取り組んでいきたいという。

ブラックジャックに憧れて

京王井の頭線・浜田山駅を降り、駅前商店街を通って閑静な住宅街を抜けると、井の頭通り沿いにまるでショールームのような建物がある。今回取材したニューハート・ワタナベ国際病院だ。元は輸入車のショールームだった建物を改築、2014年5月にオ-プンしたばかりだ。総長である渡邊剛(わたなべ・ごう)先生は、心臓外科手術の世界的な権威の一人であり、日本では数少ないダ・ヴィンチ手術(daVinciSurgicalSystem:ダ・ヴィンチ外科手術システム)のオーソリティーだ。
「私が医者を志したのは手塚治虫の『ブラックジャック』を読んでから。助けられない人を助ける、余人にできない仕事ってカッコイイじゃないですか。特に医療の中で、も心臓外科はとがった領域で、出来不出来が生命に直結しまうので特別に難しい。だから面白いというのもあってこの道に進みました」と渡邊先生は語る。今でも『ブラックジャック』は愛読書のようで全巻セットを3セットもお持ちだという。
1958年、東京生まれの渡邊先生は長く母校でもある金沢大の教授を勤めてきた。先進医療へのこだわりが強い渡邊先生だが、大学病院の組織の中ではなかなか進めにくかったそうだ。しがらみや出る杭は打たれるの人間関係、権威主義など、まさに『白い巨塔』を地で行く世界。それならば自由に先進医療を進められるように独立しようと思い立ち2014年にニューハート・ワタナベ国際病院設立へとこぎ着けた。「杉並区は人口が多い割に心臓の病院が少ないんです。そういった地域の市場調査も手掛けてこの地を選びました」。

ダ・ヴインチとの出会い

1999年、世界で初めて内視鏡によるバイパス手術を行なった渡邊先生は、この手術の論文を医療分野における世界的権威の雑誌『ランセット』に発表する。 ちょうどその頃、内視鏡を発展させた機械であるダ・ヴィンチが開発される。ダ・ヴインチとの出会いは渡邊先生にも衝撃だったようだ。
「この機械だったら心臓外科だけでなく外科の世界そのものを変えられるだろう。」 いち早くダ・ヴインチに触れたいという思いが募る。従来の内視鏡は挟む・切る・持つを行なうだけだが、ダ・ヴィンチはフリーダムレートが非常に高いのが特徴。関節の先に関節があり、それらをいくつも複合的に動かせる。モーションスケーリングでモニターを観ながらバーチャルに直感的な操作が行なえる。「内視鏡とダ・ヴインチを比べると黒電話とiPhoneくらいの違いがありますね。直感的に触れるという意味ではiPhoneみたいです。ただし軽自動車とFlマシンくらいのポテンシャルの差もあります。Flマシンって誰でも運転できるものではないですよね。だから下手な人が扱うと取り返しの着かない事故にもなりかねない。そういう難しさはありますが、より手術の上手い人がトラブルシューティングやセーフティーネットを張った上で行なうにはとても有用なものです」と語る。
現在、ダ・ヴインチ手術について厚労省はその使い方を制限している。保険適用になるのは泌尿器のみ。それ以外の分野では自由診療になってしまう。なぜ心臓手術に使えないのか?お役人は「心臓手術は難しいから」と答えるが、外科医でもない役所の人に何が分かるのだろう。渡邊先生曰く「内視鏡よりも簡単になっています」とのこと。ダ・ヴインチは身体の奥深くの手術が得意であり、実際には日本でも自由診療で胃ガン、腸、肺、甲状腺、肝臓、耳鼻などの手術に使用されている。日本では140台程度購入されており、世界第2位のダ・ヴインチ保有国になっている。「しかし先ほどのような理由であまり使われていません。お金はあるから買うけれども使われていないってもったいない状況ですね。自由診療でも良いから使うという医師が少ないんです。医師のフロンティア精神が足りないんだと思いますよ。」
元々手先の器用だった渡邊先生だが医者の素質について外科医は手先の器用さが必要と説く。しかし現実には下手な医者も多い。「だから良い病院なんて企画で本が出るんです。(笑)」確かに大学医学部に受かり、国家試験にも受かる、ということで勉強はできるのだろうが、勉強しかできない医師が多い。しかし外科手術には自然現象を理解しないとダメ。人間も自然現象の延長線上にあり、理解せずには本来手術できないはず。だから医師も玉石混合が現実だそうだ。

デーサージャリ―実現と患者さんの満足

「これからの心臓手術は身体に優しい手術がより増えていくと思います。切開の箇所も小さく、その数も5個から1個へとダ・ヴインチの導入でどんどん減っています。そこまで進化すると患者さんも手術を受ける気になりますよね。いずれはデーサージャリー、日帰りでの心臓手術を受けられるようにしていくのが目標ですね。ちなみにトルコではすでに行なわれています。朝来て手術をして夕方に帰る。これはダ・ヴィンチでの症例ではないですが、傷を小さくし短い時間で行なえば可能な話です。ただし私は患者さんの気持ちを大切にしたいんです。果たして患者さんはどういう気持ちで退院に向うのか?物理的に早く退院させることは難しくありません。現在のダ・ヴィンチ手術でも3日で帰れます。でも、気持ちよく満たされた気持ちで帰れるようにするにはどうしたら良いでしょう?ごはんを美味しく食べられて、痛みが無くて、内なる活気が湧いてくる。最低、この3つが揃うくらいまで入院させてあげないと退院はお勧めできないんです。それらをクリアして、デーサージャリ―を実現し、傷の小さい手術を行なう。そしてこの病院で1年間に2,000人の患者を手術するというのが目標ですね。現在、年間250人のペースです。2,000人というのは今の8倍ですから物理的には可能だと思います。100倍とかっていう途方もない数字ではありません」と今後の目標を語る。なおニューハート・ワタナベ国際病院の平均の入院回数は1週間~10日だそうだ。全国統計によると在院日数は一番少ない病院だという。
冒頭触れたようにニューハート・ワタナベ国際病院はまるでショールームのようなたたずまいた。しかも病室はまるでホテルの一室のような美しさ。そこにも渡邊先生の強いこだわりがある。「入院中はやはり快適に過ごしていただきたいんです。短時間で退院するという考え方と相反するかもしれないですが、素晴らしい部屋で身も心も癒されて帰っていただきたい。どこの大学病院ヘ行ってもそういう満足感は得られません。だから病室はかなりこだわって作りました。杉並という地域に根ざした部分を考慮して作った病院ですが、患者さんの7割は実は全国区です。中には海外からの患者さんもおりロシア、インドネシア、中国、フィリピンなどから来院があります」。また食事にもこだわっている。料亭の料理人を雇い、患者さんに食欲が湧き、早く帰りたくなるような食事を提供しているという。手術の次の日の朝飯が一番美味かった、という人も多いのだとか。「美味しい食事を出してよかったと思えますね。我々スタッフも食堂で同じものを食べていますがやはり料亭の味は美味い。塩分制限を除けば患者さんと、ほとんどいっしょの食事です」。
今回この病院を取材で訪れて思ったのは、スタッフの方々の明るさとしっかりした挨拶だ。このあたりも受付もホテルみたいにしようという渡邊先生のこだわりが感じられる部分である。心臓外科だけでなく総合診療によって全身の診断のできるニューハート・ワタナベ国際病院、日本で最先端の医療を体験できる病院だ。

Profile
渡邊 剛(わたなべ・ごう)
医療法人社団東京医心会
ニューハート・ワタナベ国際病院総長・医学博士
金沢大学医学部卒業後、同大学院修了。同大教授、東京医科大学心臓外科教綬(兼任)などを経て2014年にニューハート・ワタナベ国際病院を設立。趣味は自動車のカスタマイズ。手先の器用さを活かし数々のクルマの改造を手掛ける。ちなみに外科の手街道具の自作もお手の物だ。休みの日は5人のお子さん(全員男の子)と遊ぶのが楽しみ。1958年、東京生まれの56歳。

メディア掲載の一覧に戻る